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明治大学 島崎賢史郎さん

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しまざき・けんしろう●1991年生まれ、東京都出身。漫画『北斗の拳』が好きな父親の影響で、小学校の時から空手を習うほか、オーケストラ部でトロンボーンを担当。音大を目指すも断念。明治大学進学後にサークルでフリーペーパーの制作に携わったことがきっかけで、ファッション誌に興味を持つ。雑誌社でのインターンシップを経験後、自分で媒体を立ち上げようと決意。高校時代からコツコツためた貯蓄とアルバイトで貯めた200万円をつぎ込み、2013年3月に『N magazine』を創刊。13年11月末に2冊目を刊行予定。

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プロのカメラマンたちの仕事ぶりにも刺激を受けた。「隅々までこだわり抜くだけでなく、面白がって作れば、それはちゃんと読み手にも伝わると思っています」。写真は11月末に発行される2冊目の撮影風景。

作り手の情熱が伝わるような「こだわりの雑誌」を作りたい!

2013年3月に『N magazine』というファッション誌を出しましたが、僕自身、小さいころから雑誌やファッションに興味があったわけではないんです。中高生の時は週刊誌のグラビアを見て、友達と普通に盛り上がる程度。ファッション誌なんてどうでもいいという感じでした。

 

雑誌作りにかかわったきっかけは、『ADDマガジン』というファッション関連のフリーペーパーを作っているサークルに入ったことです。入った理由は、飲み会にいたかわいい先輩と仲良くなりたかったから。不純な動機です(笑)。

 

高校時代から漠然としたメディアへの憧れはあったので、ちょっと頑張ってみようかと取り組みました。僕は写真担当で、Webサイトに載せるスナップを撮影したり、ファッションショーに交渉して記事用に写真を撮ったり。もちろん写真の経験なんてありませんし、ファッションのこともよくわかっていなかったので苦労しました。2年間必死で続けたことで、雑誌の作り方の基本が学べました。

 

インターンシップ先の雑誌社でもファッション誌にかかわりました。ここでは、雑誌作りの工程はもちろん、ファッション業界の仕組みや、ブランドの名前について学ぶことができました。一番大きかったのは、ファッション業界で働くたくさんのカメラマンの方々と知り合いになれたことです。

 

サークル活動をしている時から「自分の媒体が持てたらいいな」とは思っていたのですが、インターンシップをきっかけに、自分の雑誌を作ろうと決意しました。海外の雑誌、たとえば『i-D magazine』『Dazed & Confused』といったイギリスの人気ファッション誌を見ると、一つの特集だけで16ページくらいあって、しかもセットや撮影場所など細かい部分までこだわっていて、作り手の熱意が伝わってきます。僕もそういうかっこいい雑誌を作りたいと思ったからです。

 

まずは夏休みを利用してお金をためることに。昼はカフェ、夜はコンビニの夜勤のバイトをし、さらに実家のキャンプ場でも働きました。並行して、インターンシップ先の編集長に自分がイメージしている媒体について相談したり、あとは知り合いにプロのカメラマンを紹介してもらって会いに行きました。

 

でも、作品を見せてもらっても、「この写真、微妙ですね」なんてついつい言ってしまうんです(笑)。だから「生意気だ」とよく怒られましたね。そんな経験もあって、『N magazine』の「N」はニッポンの「N」でもあるけど、ナマイキの「N」でもあるんだと言っているんです。とにかく、たくさんの方に作りたい雑誌のイメージを伝え続けていると、少しずつですが興味を持って賛同してくれる人が増えてきました。

 

最初から、表紙はモデルの水原希子さんだと決めていました。モデルとしてイメージが確率されていて、海外でも実績がある。モード界だけでなく、一般の人からも「かわいいよね」と支持されているところが、僕のイメージする表紙にぴったりでした。だから何度も事務所に電話をしてお願いしましたね。見本誌がないのでイメージを必死で伝え、「とにかく面白いことがやりたいんです!」と熱意だけで押しきった感じ。もし水原さんに断られていたら、そこで雑誌作りはあきらめていたと思います。

 

大学3年の8月に制作をスタートさせ、11月の頭までの約3カ月間で一気に作りました。デザインや印刷などは進めながらその都度勉強です。最初に表紙の撮影をしてしまったものですから、もう後戻りできません。一人で雑誌をすべて作るというのは、協力してくれた方への責任を一人で背負うこと。重圧に押しつぶされそうで、何度も「もう無理だ」と思いましたが、「水原さんに怒られる」と思って頑張ろうと。

 

作ってみて感じたのは、生みの苦しみです。「こうしたいのに、うまくいかないなあ」ということばかり考えていました。完成してからも、「もっと文字を入れればよかった」など、後悔しかありません。ただ、面白がって作るという部分では、すごく楽しめました。素人の僕が出したアイデアを実際にやってみたらまったく面白くなかったりもしたのですが、提案したり考え抜いたりしてこだわり抜いて作ったという部分では手応えはあります。

 

 

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「学生だから」というところで評価されたくない

1冊目はバイトで貯めたお金と借金で作りましたが、それでずっとは続けられません。だから、卒業後は就職しようと思っています。周りのカメラマンたちは口をそろえて「就職しないで、一緒に雑誌を作っていこうよ」と反対するんですけどね(笑)。

 

就職して働きながら、自分の媒体を持っている方もいますから、僕もそうやって、自分で稼いだお金で好きな雑誌を作っていけたらいいなと思っています。広告会社から内々定をもらっていますが、具体的にどんなキャリアを積んでいくかについては、まだ何も浮かんでいません。

 

雑誌作りは面倒なことも多くて大変だし、泣きたい時ばかりなんですが、なんか面白いんです。雑誌のいいところは、生き物みたいに「進化」できるところ。作り手である自分の成長とともに雑誌も成長していけるので、継続させることにすごく意味があると思います。だから、たとえ何年間空いても、続けていきたいと思っています。今しか作れないものは、今しか作れませんからね。

 

1冊目が「0号」だったので、今作っている2冊目が「1号」なのですが、最初から2冊目が勝負だという気持ちでいました。やっぱり、「学生」というところで評価されたくないんです。「学生だからこんなもんだよね」と言われるのが一番嫌。「モノとして良い・悪い」ときちんと評価してもらいたいと思ってます。だから本当は学生が作っているというのは出したくなかったんです。ただ、出てしまったのでしょうがないですが。

 

一方で、「学生が面白いことをやろうとしてるな」とアドバイスをくれる人もいますし、学生だからと撮影場所を貸してもらえたりすることもあるので、学生である利点はうまく活用すべきだと思うようにしています。

 

「編集」という仕事は、デザインをするわけでもないし、写真も撮らないし、文字も書きません。スタイリングもしない。「何もできない」立場だと思ってやっています。だから、やっていて不安です。これって自分の実力なの? ただ上に立たされているだけなんじゃないか?…そんなふうに悩むときも多いのです。だからこそ、「こういうものを作りたい!」という強い思いがないと続かないと思います。

 

『N magazine』を読んでくれた人が、どこか一つでも好きなページを見つけてくれたらいいなと思っています。それをきっかけにほかのところを見ていって「あ、これもいいな」と世界を広げてもらえたり、何かを感じ取ってくれたら理想的ですよね。とは言いながらも、僕はあまり物事に感動しないタイプなので、もしかしたら僕自身が心からかっこいいと思えるものを見つけたくて作っているのかもしれません。

 

島崎さんに10の質問

Q1. 好きな異性のタイプは?

色白でネコ目の優しい女性。美人に弱いです。

Q2. 血液型は?

A型です。「あれもしなくちゃ、これもしなくちゃ」と毎日焦りまくっているところが、A型っぽいと言われます。

Q3. 趣味は?

寝ることと、マンガを読むこと。

Q4.好きな映画は?

最近観たジブリの『風立ちぬ』。勝手に僕自身の『N magazine』に対する思いと重ねて、感動しまくっていました。

Q5.好きな食べ物は?

芋ようかん。甘いものが好きです。

Q6.生まれ変われるなら何になりたい?

皇族のような、なってみた人しかわからないような経験をしてみたいです。

Q7. 100万円を自由に使えるなら何をする?

次の号の撮影費にあてて、思う存分に写真を撮りたいです。

Q8.尊敬する人は?

父親です。子ども3人を育てながら、脱サラして一代でキャンプ場を立ち上げ、大きくしました。自分が働くことを意識し出してから、そのすごさと大変さがわかりましたね。

Q9.自分を動物で例えると?

ハリネズミでしょうか。基本、警戒しているのですが、気を許すと無防備になります。

Q10.宝物は?

『N magazine』と、それをきっかけに知り合えたすべての人たちです。

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一日のスケジュール

on
7:30 起床。頭が動き出したら腰を上げて学校へ向かう。
10:40 授業開始。卒業がかかっているので、必死に勉強。
12:00 昼休みの時間を使って、ファッションブランドのメーカーに電話して、次号への商品の掲載について交渉。その後、学校近くでデザイナーと打ち合わせ。
14:30 授業に戻る。
21:00 授業がすべて終了。休む間もなく、『N magazine』のカメラマンとの打ち合わせをかねた夕食へ。
23:00 帰宅。メールチェックと、翌日の会議で必要な企画書の作成など、残った仕事を片づける。
2:00 就寝

 

off

12:00 目が覚めるまで寝る。大体お昼ごろ起床。
13:00 パソコンを立ち上げ、メールチェック。
15:00 書店へ行き、ありとあらゆる雑誌をチェック。気になるものがあれば購入し、研究。
19:00 外で夕食をすませて、帰宅。急ぎの仕事がなければ、家でゴロゴロしながらマンガを読む。
23:00 眠たくなったら就寝。

取材・文/志村江 撮影/刑部友康


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